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国内レース他 ニュース

投稿日: 2023.07.25 18:36
更新日: 2023.07.25 18:38

エンツォ・トゥルーリ 2023フォーミュラ・リージョナル第4大会 レースレポート

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国内レース他 | エンツォ・トゥルーリ 2023フォーミュラ・リージョナル第4大会 レースレポート

エンツォ・トゥルーリが、フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップに初挑戦。初走行のもてぎ大会で、見事に3戦連続表彰台をゲット

 今シーズン、全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権に参戦しておりますエンツォ・トゥルーリ(イタリア出身・18歳)が、7月22〜23日に栃木県・モビリティリゾートもてぎにて開催された『フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズチャンピオンシップ(以下FRJ)第4大会第9/10/11戦』に参戦し、初挑戦ながら、見事3戦連続表彰台を獲得いたしました。

 FRJ車両は世界自動車連盟(FIA)が規定する世界基準で製作され、世界各国で競われているカテゴリーで、日本では株式会社童夢製シャシーにアルファロメオのターボ・エンジンが搭載され、ダンロップ製ワンメイクタイヤで戦われいる登竜門カテゴリーです。

 今回のエンツォ・トゥルーリの参戦は、日本のサーキットでより多くの走行経験とレース経験を積ませるために、所属チームであるTOM’Sと、その関係者のご協力で実現したものです。エンツォ・トゥルーリにとっては、初のフォーミュラ・リージョナル車両、初のターボ・エンジン、初のダンロップタイヤ、そして初めてのサーキットという初めてづくしのなか、金曜日のフリー走行2回のみで予選、決勝に臨むという短時間での適応性が要求される厳しい戦いでもありました。

 滋賀県にある童夢のファクトリーでシート合わせを行ったエンツォ・トゥルーリは、木曜日の午後にピットでチームに合流して顔合わせをし、入念にトラックウォークを済ませ、金曜日のフリー走行に臨みました。金曜日のフリー走行では、午前、午後ともいきなりトップタイムをマーク。すべてのセクタータイムでトップを記録するという速さと適応力を見せ、主催者を含む関係者の注目を集めました。

 土曜日、午前8時からの15分間×2回の予選では、前日のテスト走行に比べると、路面温度の変化と風向きの変化に対してタイヤの内圧に関するデータ不足から、ダンパーとダウンフォースレベルを合わせ切れず、それぞれ僅差の2番手タイム。予選1回目のセカンドベストタイムも2番手第11戦のグリッド位置となり、第9、10、11戦をすべてフロントロウ、2番手グリッドからスタートすることとなりました。

 土曜日午後の第9戦は、初めてのクラッチシステムでの経験不足を露呈し、スタートで大きく失速。一気に5番手にドロップしたものの、タイヤを温めてからスパートを開始し、1台、また1台とパスして最終的に2位でチェッカー。嬉しいFRJでの初表彰台を獲得しました。

 日曜日の第10戦では、スタートもうまく決めて2番手で第1コーナーを通過。前を行く選手との差を一定に保ちながらタイヤを温存し、レース半ばから次第にペースをアップ。9周目にはファステストラップを刻みながら首位との差を一気に縮め、最終ラップのヘアピンでテール・トゥ・ノーズにつけるとバックストレートでスリップ・ストリームに入りました。

 ブレーキングポイント直前で、エンツォ・トゥルーリは一瞬、左にフェイントをかけて前のマシンが左にブロックするのをうながし、その空いた隙間に一気にノーズを入れ、インに飛び込みました。そこで並走しながら前に出て、最終シケインをトップで立ち上がったのですが、ライバルのほうがトラクションに優り、コントロールラインを同時に通過したように見えたのですが、残念ながら正式結果は100分の1秒差で2位。見事に戦い切ったものの、エンツォ・トゥルーリにとっては、勝てなかった自分自身に対して悔しさの残るレースとなりました。

 午後の第11戦では完璧なスタートを見せて1コーナーでトップを奪ったものの、相手も一歩も譲らず並走し、2台の激しいバトルは第2コーナー、第3コーナー、第4コーナーと続きました。そして第5コーナー立ち上がりでライバルが軽いコースアウトで後方にドロップしたため、エンツォ・トゥルーリはトップで1周目のコントロールラインを通過しました。

 このまま逃げ切るかと思われたのですが、中古タイヤでスタートしたエンツォ・トゥルーリのペースは上がらず、逆に新品タイヤや走行距離の少ないフレッシュタイヤを装着して走るライバルたちのペースが速く、エンツォ・トゥルーリは防戦一方のレースを強いられることとなりました。

 エンツォ・トゥルーリの駆る14号車を先頭に、上位5台が激しいバトルを展開するなか、巧みなブロックラインで首位を守り続けていたエンツォ・トゥルーリでしたが、8周目には新品タイヤが温まってきた後続マシンに0秒147差まで詰められ、10周目のビクトリーコーナーでついにエンツォ・トゥルーリは首位の座を譲り渡します。その後、11周目の第2コーナーでもタイヤグリップの差からコーナー立ち上がりでオーバーテイクを許し、3番手へとドロップ。さらに最終ラップに後続2台から襲い掛かられたエンツォ・トゥルーリは、一時は4番手にドロップするも抜き返し、3位を死守してチェッカーを受けました。

 短いながらも充実したレースウイークで、3戦3表彰台を獲得したエンツォ・トゥルーリは、チームスタッフに勝ち得た自らのトロフィーをプレゼントしてサーキットを後にしました。

■エンツォ・トゥルーリのコメント

「今回のスポット参戦に向けて、短い間ですべてを準備してくださったTOM’Sをはじめとするすべての関係者の皆さんの努力に、まずは感謝の意を表したいと思います。FRJ事務局の皆さんも、スポット参戦の自分に対して本当に親切に対応してくださって、本当に楽しい週末を過ごすことができました」

「FRJのマシンは想像以上にSFLのマシンと違い、金曜日の走り出しは戸惑いました。コースに関しては2周も走ればだいたいは理解できたのですが、マシンはだいぶ異なりました。それを乗りこなす面白さは別格で、練習走行1日目はすべてのセクターでトップタイムをマークすることができ、セットアップに関してもまずまずの手応えを得ることができました」

「予選では、タイヤの内圧調整が路面温度とうまくマッチングせず、ダウンォースもライバルたちより少な過ぎた状況で、最速タイムには僅かに届きませんでした。マシンのリヤも不安定で、ターボが効きだすと唐突にリヤが流れてしまうので、午後の決勝に向けてダウンフォースとリヤの足回りのセットアップを大きく変更することにしました」

「第9戦では自分でも予想はしていたのですが、練習不足でスタートに失敗してしまい、一気に後方に取り残されたところから2位まで追い上げてチェッカーを受けました。スタートを除けば、まずまずの内容だったと思います」

「第10戦は、自分のなかでは本当に悔しいレースとなりました。前日のデータからリヤのジオメトリー変更をエンジニアとかなり話し合ったのですが、自分たちのペースは悪くないのであえてギャンブルに出ず、車高調整とスプリング変更で対応し、それがうまくいったと思います。前日の経験からスタートもややうまくいき、レース序盤はタイヤを温存しながら前のマシンのペースに合わせ、8周目くらいからペースアップ。最終ラップでの抜き方まで頭のなかでシミュレーションしていたとおり実行でき、オーバーテイクも完璧にこなしたのですが、自分が前で立ち上がったのに、最後の加速勝負で負けてしまいました」

「第11戦は、スタートを完璧に決めてトップに立つことができました。ライバルたちがコンディションの良いタイヤを装着していたのはグリッドで気が付いていましたが、トップに立って、ミスさえしなければ勝てるだろうと思っていたのです。しかし距離を走ったタイヤのグリップダウンがここまで激しいとは思わず、無線で『リヤがまったくグリップしないし、トラクションが無い!』と伝えましたが、それはピットではどうにもできないとわかっていたので、バックミラーを注視し、後続に抜かれないようなライン取りと、コーナー脱出時に抜かれないような位置取りを意識しながら集中して走りました。モビリティリゾートもてぎでの、ブロックラインの良い勉強になったと思います」

「自分としては、とても勉強になった週末ですし、カテゴリーこそ違いますが、富士、もてぎと連続した2週間6レースのなかで、ポールポジション2回、予選2位3回、優勝2回、2位2回、3位1回というお土産を持って、家族の待つヨーロッパへ戻ります。8月後半に高校の卒業試験を受け、また日本に戻ってきますので、皆さん、これからも応援よろしくお願いします

エンツォ・トゥルーリ 2023フォーミュラ・リージョナル第4大会 レースレポート
エンツォ・トゥルーリ 2023フォーミュラ・リージョナル第4大会 レースレポート


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