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海外レース他 ニュース

投稿日: 2022.07.25 16:53
更新日: 2022.07.25 19:30

タイヤ安全性懸念再発でリンク&コーが撤退、ホンダのジロラミ、アウディのマグナスが勝利/WTCR第6戦

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海外レース他 | タイヤ安全性懸念再発でリンク&コーが撤退、ホンダのジロラミ、アウディのマグナスが勝利/WTCR第6戦

 そのまま土曜午後に実施された予選では、ホンダのジロラミがミケル・アズコナとノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)の2台を抑えポールポジションを獲得したものの、予選13番手に留まったミューラーは「トップ5に入れる手応えはありながら、自分自身を犠牲にしなければならなかった」と、フラストレーション過多で爆発寸前の状況を語った。

「すべての推奨事項を守っているのに、練習走行から220km/hでコースオフさせられたんだ。他に何をすればいいというのか。ロングランは最大15周程度で、23周レースなんてまったく見えない。明日はとにかくゆっくり走って、チェッカーが見られれば満足だ」

 大ベテランがそう不満をぶちまけた直後、当のリンク&コー・シアン・レーシングはふたたびの声明を発表し、安全上の理由で実施された予選後のミーティングを経て、日曜のレースには出場せず、同週末のラウンドから「撤退する」との決定を下した。

「ホンダより50kg、ヒョンデより80kg重い我々のクルマでは、重量とタイヤの状況を組み合わせることで『不可能な方程式になる』というデータを、FIA WTCRの運営委員会やすべての利害関係者に提供していた」と説明するのは、チームマネージャーを務めるフレデリック・ウォーレン。

「我々が望んでいた決定ではないが、バレルンガの週末では始まりから現在に至るまで、この問題に対する適切な解決策は見つからなかった……という結論だ」

 この宣言どおり、レース1のフォーメーションラップを終えた段階で5台のリンク&コー03 TCRがピットロードへと向かい、不穏な空気の中でスタートが切られると、他陣営の車両にもタイヤにまつわるトラブルが続発。8周目にはメディ・ベナーニ(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)とティアゴ・モンテイロ(エングストラー・ホンダ・タイプR・リキモリ・レーシングチーム/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がピットに戻らなければならず、翌周にはモンテイロの僚友アッティラ・タッシのシビックもピットエントリーへと続いていく。

 さらに12周目にはベルトンのアウディも高速コーナーで“あわや”の場面に見舞われ、なんとかコントロールを保って緊急ピットへ。16周目にはニュルで痛い目に遭遇していたロブ・ハフ(ゼングー・モータースポーツ/クプラ・レオン・コンペティションTCR)もレースを諦めざるを得ない展開に。

 続くラップでレースコントロールはセーフティカー(SC)を介入させ、コース上に散乱する剥離したタイヤトレッドの除去を実施すると、残り2周のスプリントでジロラミが勝利。アズコナ、マグナスの続く表彰台となった。

 夕刻17時を回って始まったレース2でも状況は改善せず、5台のシアンブルーに彩られた車両がピットへ消えたところで勝負が始まると、中盤にはアウディ、ホンダらが続々とタイヤ交換に向かうなか、マグナスとベルトンのアウディがワン・ツーでチェッカー。ヒョンデのアズコナが最後の表彰台を確保する結果となった。

 路面温度50度越えのコンディションながら、不可解かつ安全上に大きな疑義が残るトラブルが頻発する状況に対し、グッドイヤーも「全タイヤを回収し、あらゆる情報から根本的要因を精査する」と述べるに留まったが、続くWTCR第7戦はここから約2週間を切った8月5~7日に、4冠王者ミューラーの地元フランス・アルザス地方に位置するアノー・デュ・ハンで争われる。

レース1勝者ジロラミも「非常に速くてやりがいのあるコーナーが特徴のトラックだが、今はタイヤに優しくすることだけを考えている」と本音を語った
レース2のスタートから隊列を率いたジル・マグナス(Comtoyou Team Audi Sport/アウディRS3 LMS 2)が勝利を飾った
リンク&コー・シアン・レーシングのドライバー5名とクルーの面々は、レースの行方をモニターで見守った
レース1の3位表彰台に続き、勝利を手にしたマグナス。「タイヤの問題で複数のピットストップ、なんだかシュールなレースになってしまったね」


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