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スーパーGT ニュース

投稿日: 2023.04.21 12:50
更新日: 2023.04.21 12:52

apr LC500h GT 2023スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

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スーパーGT | apr LC500h GT 2023スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

2023 AUTOBACS SUPER GT Round1 OKAYAMA GT 300km RACE
開催地:岡山国際サーキット(岡山県)/3.703km
4月15日(予選)天候:雨のち曇りコースコンディション:ウェット観客数:7800人
4月16日(決勝)天候:曇り一時雨コースコンディション:ドライ〜ウェット観客数:14500人

デビュー戦で予選6番手の快挙も、決勝は荒天に翻弄され、無念の結果に……

 2023年もまた、aprにとって新たなチャレンジのシーズンとなる。全8戦で競われるスーパーGTにニューマシンを投入、レクサスLC500hでGT300クラスを戦うことになった。

『apr LC500h GT』をドライブするのは嵯峨宏紀選手、そして初めてレギュラーとして参戦になる小高一斗選手。また、8戦中5戦で開催予定の450kmレースでは、根本悠生選手が起用される。タイヤは引き続き、信頼と実績のブリヂストンを使用する。


 PRIUS GTで培われたハイブリッドシステムを踏襲し、また近年aprが製作してきたGR Supra GTやGR 86 GTのノウハウが注ぎ込まれた『apr LC500h GT』における最大の特徴は、クラス最長といっても過言ではないロングホイールベース。特に期待されるのは、高速コーナーでの安定感だ。

 開幕戦の舞台でもある岡山国際サーキット、そして富士スピードウェイで行われた公式テストは順調に進み、何より中低速コーナーが大半を占める岡山でも好結果を残せたのは、嬉しい誤算だった。

 昨年は苦戦を強いられ、入賞すら一度も果たせずに終わったが、今年はリベンジのシーズンにもなりそう。まずはスタートダッシュを決めて、そのままシリーズを駆け抜けることが期待される。

公式練習 4月15日(土)9:10〜10:45

 開幕戦の走り始めとなる公式練習は、あいにくのウエットコンディションからのスタートとなった。それでもまだ雨は降っていなかっただけに、早めに速さを極めたいところ。

 そこで最初に『apr LC500h GT』に乗り込んだのは小高選手。2回の公式テストで、嵯峨選手以上にマイレージを稼いでいたからだ。まずは濡れた路面の状態を確認し、2周したところでピットイン。最初のセット変更を行ってから、本格的に攻めて1分40秒036を記録し、12番手につける。

 この後、タイヤ選定も兼ねて再び改めたセットで走り出すも、すでに降り始めていた雨は、急に勢いを増したからたまらない。モスSでGT500車両の転倒もあったため、30分ほど経過したところで赤旗が出されて走行は中断。

 開始から1時間経過したタイミングで再開されるも、雨量はさらに増したため、『apr LC500h GT』はピットで待機することとした。本来なら、後半は嵯峨選手が走行するはずが、天候は一向に回復の傾向を見せなかったため、30分を残して赤旗が出されて終了。

 この後に行われたFCY(フルコースイエロー)テストに、コースインはした嵯峨選手だったが、雨量が尋常でなかったため、すぐにピットイン。まともに1周できず、 公式予選に臨む羽目となってしまった。

2023スーパーGT第1戦岡山 apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗)
2023スーパーGT第1戦岡山 apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗)

公式予選Q1 4月15日(土)14:23〜14:38

 2組に分けられて行われる予選Q1に『apr LC500h GT』はA組での走行となり、このセッションは小高選手が担当した。公式練習同様、ウエットコンディションだったが、気温13度、 路面温度は14度と極めて低かったため、全セッション5分延長されて、15分での計測に改められた。

 それでも先の公式練習のこともある。いつ雨量が増えてもいいように、小高選手には早めのアタックの指示を出す。アタックは計測3周目からと。この一発がすべてだったのは間違いない。

 1分44秒935をマークした直後に、計測はまだ5分を残しているにもかかわらず、 赤旗が出されたからだ。理由は雨量増に対する安全の確保。そのため、まだアタックに入る前だった車両は、ことごとく下位に沈んだのとは対照的に、『apr LC500h GT』は5番手でQ1突破を果たしていた。

公式予選Q2 4月15日(土)15:18〜15:33

 Q1終了後に雨はやんで、路面状態は一気に向上。31号車としては、実に2021年の第6戦オートポリス以来のQ2進出となった。ここまでのマイレージが皆無にも等しい、嵯峨選手が担当したが、そこは豊富な経験が大いに活かされた。

 計測3周目からのアタックで、まずは1分38秒925をマークして、その時点の7番手に。1周ごと軽いクールダウンを挟んで1分38秒055、そしてラストアタックで1分37秒697にまで短縮を果たし、嵯峨選手は6番手に浮上した。

 その結果、『apr LC500h GT』は3列目の好位置から、決勝レースに臨むこととなった。

嵯峨宏紀選手

「予選まで走ったのは、FCY(テスト)のアウト〜インだけで、LCでの雨も初めてみたいな状況でしたが、なんとかシングルになれたので、このオフのチームの努力、大変な思いをして車を作っていましたから、少し恩返しができたと思います」

「最後にうまくまとまったかなという部分はありましたが、僕自身がこの車のウェットに、まだ慣れていなかったので、同じ条件でもう1回行ったら、タイムはもっと良かったかもしれません。明日は全然コンディションが違うと思うので、チームとしっかりミーティングして、最初のレースをいい結果で終われるようにしたいです」

小高一斗選手

「Q1のA組は、コンディション的にはまったく走れないレベルの雨量でしたが、内圧がなかなか来ない中、まわりと比べて、まだマシな方にいたのかと思いますし、結果的に5番手で。Q1突破はチームとしても久しぶりだったみたいなので、すごく良かったです。嵯峨さんのアタックも良かったので、明日は3列目からスタートできるとあって、決勝が楽しみです」

金曽裕人監督

「上々の滑り出しだと思います。去年からほとんど車のユニットは共通で、LC500hに変わったというだけで、これほどのパフォーマンスが出るのは、やっぱりベースの存在感はすごく大きいですよね。いい車だな、っていうのが正直な印象です。やっぱりスーパーカーには、スーパーカーで対抗しなくては、というのが顕著に分かりました」

「ブリヂストンタイヤの高いパフォーマンスにも感謝しています。セットアップに関しては、まだまだ走り出したばかりなので、煮詰めきれていない部分も多々ありますけど、決して悪い方向ではありません。進化代もまだ残しています。決勝ではあまり背伸びせず、1ポイントでもいいから獲って帰ろうよっていうのが、開幕戦のテーマです」

2023スーパーGT第1戦岡山 apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗)
2023スーパーGT第1戦岡山 apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗)

決勝レース(82周)4月16日(日)13:30〜

 日曜日になると天気は一転し、上空には青空が広がっていた。スタンドも満員で、ピットウォークも大盛況。サーキット内外の桜もまだ花びらを残しており、まさに開幕戦というムードではあった。

 ただ、気になるのは天気予報が午後からの荒天を伝えていたこと。スタート直前には誰もが信じられない、信じたくないと思っていたに違いない。ところが、これまた大盛況だったグリッドウォークの頃には、雲も広がるようになってきて……。

 レースに先駆けて実施された20分のウォームアップでは、スタートを担当する嵯峨選手から走行を開始。1分28秒360は順位としては19番手ながら、コンスタントに1分28秒台の前半で走れていただけに、不安は一切なし。

 最後に小高選手も走って、ドライバー交代の練習もできていた。13時30分にフォーメイションラップが開始。そしてグリーンシグナルの点灯と同時に『apr LC500h GT』は、鋭いダッシュを決めてポジションキープに成功。

 その後も前を行く車両から大きく遅れることなく、嵯峨選手は周回を重ねていった。 しかし、5周を過ぎたあたりから、いよいよ雨が降り始めてコースを瞬く間に濡らしてしまう。そこでチームは13周目、いち早く『apr LC500h GT』をピットに呼び寄せ、ウェットタイヤに交換する。

 その直後に雨足は急激に強くなり、FCYが出されるも、すぐにセーフティカー(SC)が導入される。その前後に他の車両は一斉にピットに入ってきたから、大混乱を避けられただけでも『作戦成功!』となるはずだったのだが……。

 SC中のピットレーンオープンに併せ、戻ってきた車両の中に、なんと『apr LC500h GT』もいるではないか!ワイパーにトラブルが発生していたのだ。復帰後のペースは良かっただけに、デビュー戦の洗礼ということか。

 その後、いったんは雨もやみ、ほぼ最後尾からポイント圏も見えてきたポジションまで上げてきた39周目、小高選手への交代と併せてドライタイヤに改める。

 しかし、小高選手が全力での走行を許されたのは、そこからの5周だけだった。アクシデントの発生により、45周目からFCYが出され、解除直後に雨がまた激しく降ってきたからだ。49周目から再びSCが出され、2周後には赤旗が。理由は近隣で落雷があり、安全確保のためだった。

 再開はされるも、天候は回復せず、SCスタート〜赤旗が2回繰り返された後、レースは規定周回の75%を満たした時点で終了。『apr LC500h GT』は16位に終わる。

 ちなみに最後のSCスタートで、なかなか動き出せなかったのは、エアコンの制御トラブルで、フロントウィンドウが曇って視界不良となっていたため。これもまたデビュー戦の洗礼なのかもしれない。

 次回のレースは5月3〜4日に、富士スピードウェイで行われる。予選だけでなく、決勝でも『apr LC500h GT』の本領発揮を期待したい。

嵯峨宏紀選手

「雨が降り始めて、ちょい濡れになった時に厳しくて、少しずつ順位を落としてしまって。でも、それは想定していたので、いいタイミングでウェットタイヤに換えられたはずなのに、直後にワイパーのトラブルが発生してしまって、う〜ん、万事休すということで……」

「その後のペースは良かったので、どんどん順位を上げていきましたが、小高選手に代わったタイミングで、また荒れた展開になってしまって、不完全燃焼のレースになってしまいました。次の富士で取り返したいと思います。ポイント獲れるチャンスだったので、非常に悔しいですが前進あるのみです」

小高一斗選手

「最後はマスクでメガネが曇るみたいな現象が起きて、 前がまったく見えなくなっていました。その前も、僕は何もできませんでした。交代してタイヤを温めていたらSCが出て、グチャグチャな展開になっておりブリヂストンの雨タイヤのパフォーマンスには自信があったので1ポイントでも獲りに行きたかったのですが雨が強くなり赤旗。せっかく見に来てくれたお客さんには、とても申し訳ないです。次戦は結果に繋げますのでご期待ください」

金曽裕人監督

「雨になった直後に今年ユニットを変更したワイパーがトラブル発生。そして最後はエアコン制御の問題で、曇って走れなくなってリスタートができなかったという、この2点に関しては、やっぱり新車というところと、雨での走り込みが足りていないというところが、露骨に出てしまいました」

「LC500hのパフォーマンスとしては低速テクニカルサーキットでも悪くないのが分かりましたし、近い将来の表彰台は見えてきたので、もともと得意としていなかった岡山で、それなりに健闘できたのは良かったと思います。車の作り込みと、各制御の見直しを、次戦に向け改善に努めますので、今年はご期待ください。ワイパートラブルが無ければピットタイミングに関しては、#31がいちばん完璧で上位は確実だったので、とても残念ですが、TEAMは前向きです」

2023スーパーGT第1戦岡山 apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗)
2023スーパーGT第1戦岡山 apr LC500h GT(嵯峨宏紀/小高一斗)


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